異国のおじさんを伴う

異国のおじさんを伴う

短編集。全体を通してちょっとばらつきがある気がする。好きな話は本当にいいなと思うのだけれどそうでもないやつは心底ううーんってなる。好きな話は「夜の空隙を埋める」「クリスマスイヴを三日後に控えた日曜の…」「母の北上」かな。あとは全体的にううーん。「ラストシーン」は外国人っぽいでしょみたいな会話がしらけちゃってうまく入り込めず。言いたいこと書きたいことはとてもよくわかるんだけれど。「夜の…」ときには別に無理してなかったのに「ラストシーン」では無理してるような感じにとれたのもあるかも。あんまり相性よくないのかしらん。山崎節全開な設定のわりにはいまいちふるわなかったのはなぜ?よくある語りも控えめだし。うむ。ふと思ってしまったのは社会自体を否定している割には結婚制度は否定しないんだってこと。不思議だ。
人はお金をつかわずにはいられない

人はお金をつかわずにはいられない

お金にまつわるあれこれな短編。初めて読んだ人は三人かな。久間十義『グレーゾーンの人』だらだらと話し言葉で書かれた文章に独特のテンポがありひきこまれる。話している内容も結構面白いんだけれど、逆にこういった仕事をしている人でしゃべり方はさほど賢くなさそうなわりに出てくる単語が結構難しいものだったりしてちょっと違和感。話の内容はとても興味深く、読んでる間これは実録?って思ってしまうほど勢いみたいなものがある分残念。オチがよくわからなかったのはうちが馬鹿だから。朝倉かすみ『おめでとうを伝えよう!』おそらくmixiをモデルにして作り上げたであろうSNSにハマる春夫。伸介みたいな馬鹿な二代目を知っているのでついつい重ねて読んでしまう。いやな気持が倍増しちゃうね!友達も一時期同じようなゲームにハマっていたので少なからずいるであろうこんな人々。うちはよくわからないけれど。全体的に物足りない。山崎ナオコーラ『誇りに関して』結構好きだった。ナオコーラは読みやすいな。よくもわるくも。短編だからか、いつもの山崎節は控えめですが要所要所でちらっとでてくる。一番まとまりがよかったかな。お金にまつわるあれこれに入れるほどにはお金そんなにからんでない気がしちゃうけれど。どちらかというと仕事じゃない?星野智幸『人間バンク』すっごい面白い。この人おもしろいのかも!?読んだことないので今度借りてみよう。まさに"お金"そのものをまじめにふざけながら考えた結果できたような物語だ。お金の価値がわからない人って本当にいるのだ。価値がわからないというのか執着しないというか。読み終わった後心底怖くなった。よくわからないけれど、ぞっとした。おそらく、この仕組みが公的なものになろうとしている、そのことにぞっとしたのかも。平田俊子『バスと遺産』お母さんの部屋で寝てるシーンでは泣きそうになった。お兄ちゃんに言い返さない妹の気持ちがよくわからないのでううーんって思ってしまうけれど、葉月さんがいい人でお兄ちゃんよかったねとも思う。妹はなんでこうもいろいろなことが煮え切らないのだろう。ちょっといらっとしてしまった。