ツリーハウス

ツリーハウス

家族三世代が暮らす中華料理屋さんのお話。三世代、祖父祖母父母叔父次男と、妊娠して戻ってきた長女、放浪からふらっと戻ってきた長男。人数的には結構大きな家族なのだろうけれど、ごちゃごちゃとしていても騒がしさはあまりない。祖父の死からはじまるこの話は、祖父母の時代から現代への移行と、祖母と叔父と次男が旅行する中国とが混ざりながら進んでいきます。うちの曾祖父も満洲へ行っていたのですが(最近知った)、この話のように開拓移民団としてではなく、赴任といった感じだったらしく結構贅沢な暮らしをしていたらしいです。 生きるために色々なものから逃げ続けてきたヤエと泰造、いろんな現実から目をそらすように逃げ続けていたその息子たち。祖母が中国で、見知らぬ中華料理屋で頭を下げるシーンが印象的だった。なんというか、圧倒される。色々なことに圧倒される。そのくせ、読み終わったときに、ふっと風が流れ込んできたような清々しさがある。やっぱり、角田さんはスゴイ。

久実といっしょにいることによって忘れていた、自分は何もしていない、さらに目的も希望も持っていないということが日々、実感された。そっちのほうがもしかしてつらいのかもしれなかった。